【老子】成象第六
この万物生成の源の入口は"天地の根元"を意味します。途絶えることなく続いて存在しているかのように思います。
幾ら万物を生成しても、(天地の生成は限りなく続くので)使い果たしてしまうということなどはありません。
「谷神不死。是謂玄牝。」
cf. 谷神[こくしん]
他にも以下のような説がある。
谷
谷の入口の形。左右から山がせまり、谷口が低く狭まった形を示す。渓谷の間は山気の深奥なるところであるから、神霊の依るところとされ、民間的な信仰の対象でもあった。
cf. 玄牝[げんびん]
他にも以下のような説がある。
「是謂天地根。」
cf. 天地根[てんち-の-こん]
他にも以下のような説がある。
「綿綿若存,用之不勤。」
cf. 若存[ぞん-するが-ごと-く]
存在はしているが、はっきりとは見えないさま。王弼は「存在していると言おうと思えば、その形が見えない。存在していないと言おうと思えば、万物はそこから生まれてくる。だから、ほそぼそと存在しているようなものだ」と注している。
cf. 王弼[おうひつ](226-249;中国)
中国、三国時代の魏の思想家。山陽(現.河南省)の人。字は輔嗣[ほし]。幼くして高名をはせ、何晏[かあん:?-249;中国]とともに玄学(=老荘の学)の始祖といわれる。『周易注』を撰し『老子道徳経注』を著す。
玄学[げんがく]
中国、魏・晋時代におもに流行した学風。三玄の学ともいう。
当時は,社会的生活を離れて、学理・芸術・人物評価などを論議するいわゆる清談が盛んに行われたが、その学理面では『老子』『荘子』『易』を題材として、真存在や真理などに関する抽象的議論が尊ばれた。
勤=労[ロウ] / 尽[ジン]
左側の字(音;キン)は「廿(動物の頭)+火+土」で、燃やした動物の頭骨のように、熱気で乾いた土のこと。水気を出し尽くして、こなごなになる意を含む。勤は、それを音符とし「力」を加えた字で、細かいところまで力を出し尽くして余力がないこと。それから、こまめに働く意を表す。
1. つとめる。(つとむ。)つとめ。いそしむ。こまめに働く。精を出す。また、そのこと。
2. こまごまと行き届くさま。
@「玄牝」については、どの人の解釈でも、女性のもつ次世代の者たちへの甚大な恩が語られているようです。まあ、セックスのことを書いているという見方もありますが。
@無私の話題、『荘子』のなかの「虚空の舟」というたとえ話に詳しく書いてあり、『老子』の補足になっています。
もし、人が乗った舟が自分の舟に当たってきたら、当然自分は怒るが、もし人の乗っていない舟が当たったら、怒りようがない・・・この虚空の舟こそ、無私の状態なのでしょう。
iireiさま (2017/08/15 コメントより)
> iireiさま
古代の人々にとって、"生命の誕生"は本当に神秘的なことだったのでしょうね。
「虚空の舟」というお話は、伺ったことがございます。『荘子』が出典だったのですね。
<無私>の概念が、とても明確になりました!
いつも的確な助言をくださり、本当にありがとうございます。
(2017/08/15 執筆記事 転記)